8日目その1
午前は特別メニューのspecialist clinic for oral surgery見学でした。
朝Oral surgeryの医局へ行くとみんな歓迎してくれて、コーヒーを振舞ってくれました。
student clinicは控え室らしい部屋もなくいかにも実習という空気だったのに対して、さすがはスペシャリスト。
余裕と風格すら漂っています。
そして先生達が集まると、全員の前で簡単な自己紹介をしました。
拙いスウェーデン語でなんとか自己紹介をすると、拍手喝采でなんだか嬉し恥ずかしかったです。
今日指導してくれるのはDr. Mats。口腔外科の教授で、Perfekt!が口癖のナイスガイです。
Dr. Matsは2件の手術を執刀する予定でした。
1例目は根尖切除術。
ガンの治療中の患者で難治性の根尖病巣があり、病巣感染予防の観点から病変を完全に取り去ることが必要と診断されたとのことです。
ところが抗癌剤使用による骨髄抑制が予想より強く出てしまったらしく、感染リスクが高いとの理由でこの手術はキャンセルになってしまいました。
2例目は上顎大臼歯部インプラント埋入術。
右上6にインプラントを埋入する小手術です。
手術まで1時間ほど時間があったので、2例目のインプラント手術に関してX線とCT画像を見ながら説明を受けました。
CTで確認すると、埋入部位の歯槽骨頂から上顎洞底まで5mmしかない症例です。
この件について意見を求められました。
Dr. Mats : It about 5 millimeters only. What do you think?
(高さが5mmしかないけど、どう思う?)
Mutans : Not enough.
(足りないと思います)
Dr. Mats : Then what should I do?
(ではどうすればいいと思うかね?)
Mutans : Well, it seems to need a sinus lift.
(上顎洞底挙上術が必要だと思われます)
Dr. Mats : Perfekt!
(Perfekt!)
内心ヒヤヒヤしながら答えたところ、無事Perfektいただきました。
そしてDr. Matsの口から思いもよらぬ言葉が。
「今日は君に手術のアシストに入ってもらおうこと思うんだが問題ないね?」
えぇ〜!?
問題ないけどアシストってあのアシストだよね?
マジかよ緊張してきたぞ…
と戸惑いながらもYesと答えると、
Perfekt!
インプラント埋入だけなら日本で見学したことがあります。
しかしサイナスリフトは見たことがありません。
しかも今回は見るだけでなくアシストまで。
その上ここは慣れ親しんだ北大病院ではなく、スウェーデンのNorrlands universitetssjukhuです。
プレッシャーが半端じゃありません。
ウメオに来て一番緊張した瞬間です。
内心これ大丈夫なのかなと思いながらも何食わぬ顔で患者を手術室に迎え入れ、手洗いをしに行くのでした。
8日目その2へ続く