student clinicとspecialist clinic
ウメオ大学での病院見学実習はstudent clinicを中心に行われています。
student clinicは学生専用の診療室で、先生によるチェックはあるものの初診から治療計画、実際の治療や保健指導に至るまで全て学生の手によって行われます。
私が参加したのは7th semester=4年生の実習グループで、彼らの担当する診療科は
1.Cariology…齲蝕学。日本の保存修復学に近いが、予防の進んでいるスウェーデンでは予防歯科学も含む。
2.Endodontics…歯内療法学。見学した日は患者ではなくファントム模型実習。
3.Periodontology…歯周病学。ほとんど検査やSRPなど歯周基本治療。
4.Prosthodontics…歯科補綴学。冠橋義歯が主流。有床義歯は見かけない。
5.Oral physiology…顎関節症治療。日本とほぼ変わらずスプリント治療が基本。
の5つあるようです。
歯科の基本となる修復、歯周病、補綴と顎関節症に対する臨床経験を積むことを目的としてこのような構成になっています。
student clinicでは割安で歯科治療を受けられることもあり、多くの患者が来院するようです。
北大では学生に患者が配当されることがなく、患者を担当するためには自ら自験症例を呼ばなければいけないのに比べると遥かに良い環境であると言えます。
友人や家族がみんな虫歯のない人ばかりで、自験症例を呼べなかった身としては羨ましい限りです。
一方口腔外科や矯正、小児などより高度な技術が求められる診療科に関してはstudent clinicではなくspecialist clinicにて各分野の専門医によって診療が行われています。
確認できた限りでは口腔外科、口腔診断科、矯正歯科、小児歯科、障害者歯科、高齢者歯科、歯科放射線科がありました。
この辺りの構成は日本とあまり変わらないようですね。
興味深いのは顎関節症の治療がstudent clinicで行われていることです。
顎関節症は咬合異常の他にストレスや中枢性のものなど様々な要因で引き起こされるとされている複雑な疾患です。
北大ではまさにspecialistの管轄といった扱いですが、そんな顎関節症をも学生が治療するというのは不思議な感覚でした。
まとめると、
student clinic…歯科の一般臨床を学生が練習するための学びの場。患者は格安で治療を受けられるメリットがある。
specialist clinic…一般開業医では持て余すような高度な治療を行う場。各分野の専門家がいるため、患者は質の高い治療を受けることができる。
こんな感じでしょうか。